小豆島
小豆島は約1400万年前の火山噴火の影響でできた島で、瀬戸内海の約700ある島の中でも、淡路島に次ぐ2番目の大きさを誇る島です。人口約三万人がここに暮らし、近年では島の生活にあこがれて移住する人も多くいます。
小豆島には港が6つあり、四国の高松をはじめ、本州の神戸、姫路、日生(ひなせ)、岡山へとフェリーが毎日運航しているので、交通の便の良さも小豆島の魅力を引き出しています。
小豆島は大きな島なので、ある程度訪れたい場所を決める必要があります。今回は小豆島のおすすめスポットを紹介していきます。
オリーブ
さて、小豆島の代表的なものと言えばオリーブを思い浮かべる人が多いでしょう。今でこそオリーブは小豆島の特産品になりましたが、それまでの道なりは簡単なものではありませんでした。
小豆島に初めてオリーブがやってきたのは1908年のことです。当時鹿児島、三重も同様にオリーブの栽培が始まりましたが、順調に育っていったのは小豆島の西村地区だけでした。こうして小豆島でのオリーブ栽培が始まったのです。
しかしオリーブの実は成っても、当時オリーブオイルを搾油する技術も機械もない状態でした。そのため代用したのが、小豆島のもう一つの特産品である醤油を作るときに使う麻袋でした。試行錯誤を繰り返し、また日本にしか生息しない害虫に悩まされながらも、小豆島でのオリーブ栽培は実を結んだのです。
現在ではオリーブオイルの人気によって品薄なものもあり、現地に行かないと手に入らない種類もあります。ヨーロッパの本場のオリーブでもいいですが、是非日本のオリーブもご賞味ください。
またオリーブ公園という名の農園と公園が一緒になっている場所もあります。ギリシア風の建物が並び、美しい瀬戸内海の景色も相まって、実際にギリシアにいるような気分を味わえることができます。
醤油と「醤(ひしお)の郷」
先ほども触れましたが、オリーブと並ぶ小豆島の特産品がそうめんと、ここでご紹介する醤油です。小豆島の東、安田地区と坂手港を結ぶ県道沿いには醤油蔵と佃煮工場が集中しており、今でも多くの蔵では昔ながらの木樽を使った醤油作りが行われています。
小豆島で醤油作りが本格化したのは江戸時代になってからです。小豆島が当時から塩作りが盛んであったことと、酵母に適した瀬戸内式気候であること、そして海運の要所であったので、上質な大豆や小麦が運び込まれたこと、これらの3つの条件が重なったことにより、醤油作りが盛んになったのです。
しかし明治から昭和にかけ、近代化が進むと醤油作りも大量生産されるようになり、次第に伝統的な醤油蔵は廃業していくようになりました。小豆島の蔵も例外ではありません。江戸時代には約200あった蔵も現在では約20にまで減少してしまいました。
こうした産業を守るために整備されたのが「醤の郷」です。現在も昔ながらの製法で作り続ける醤油蔵が並んでいるので、街を歩けば醤油の香りがしてきます。蔵によっては予約なしで見学することも可能です。是非一度立ち寄ってみてはいかがでしょうか。ただし、納豆を食べた後で蔵の見学はご法度。納豆菌が酵母を破壊してしまいます。
土庄港(としょうこう)とその周辺・エンジェルロード
小豆島で最も大きな港である土庄港は、高松や岡山へのフェリーが運航しており、小豆島に訪れる人はまずここに到着する人が多いのではないでしょうか。ここから歩いて15分ほどで「迷路のまち」と呼ばれる地区があります。その名の通り、路地が細く曲がりくねっており、また目印になるような高い建物もないので、この地区を歩くと、本当に迷路に入り込んだような気分になります。このような路地になった理由は、中世の時代に海賊や敵の侵入を防ぐためにわざとわかりにくくしたこともありますが、海から吹く風を分散させる役割もあります。
この地区にはレトロな商店や古い民家をリノベーションしたショップが並ぶほか、アバンギャルドな妖怪美術館など、「迷路のまち」には見所が沢山あります。ご心配なく。「迷路のまち」には地元の人という水先案内人がいるので、迷ったときには彼らに出口を教えてもらいましょう。
「迷路のまち」から抜け出すことができたら、10分ほど海岸に向かって歩いてみましょう。そうすれば恋人たちの聖地であるエンジェルロードが見えてきます。
1日二回、干潮の時間になると現れる陸地と島を結ぶ砂の道がエンジェルロードです。恋人たちがこの不思議な道を歩けば、永遠に結ばれるという噂がひろまり、いつしかこの名前で呼ばれるようになりました。
エンジェルロードが現れる時間は、離れ島を散策することができます。ただし、普段は海の下にある岩場を歩くことになるので足元が滑りやすくなっています。足元にはくれぐれもご注意ください。
寒霞渓(かんかけい)
日本三大渓谷美の一つに数えられる寒霞渓は、日本を代表する名勝として広く知られています。約1400万年前に小豆島が誕生して以来、浸食や地殻変動により現在の渓谷になったといわれています。そびえたつ岩壁や長年の雨風の浸食により形成された奇岩と、春は桜、秋は紅葉と季節によって表情を変える自然を堪能することができます。
もちろんロープウェイで簡単に頂上に行くこともできますし、約1時間のハイキングで頂上に向かうこともできます。行きはロープウェイ、帰りはハイキングと組み合わせることもできますので、お好みで決めてみてはいかがでしょうか。